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目次
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度とは
この「教育資金一括贈与の非課税制度」とは、現時点(30年12月19日時点)では、平成31年3月31日までに、父母または祖父母から、30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与した場合、子や孫1人につき1,500万円(学校以外の費用は500万円)までの贈与が贈与税非課税(贈与税がかからない)になる制度です。
もともと教育費や生活費は、必要な時に必要な金額をその都度支払う(贈与する)場合は、たとえ年間110万円の金額を超えても原則、贈与税は非課税です。「一括」が良いか、「その都度」が良いかよく比較して検討することが大切です。
この制度によって、相続税対策として子や孫に計画的に多額のお金を一括かつ非課税で贈与することが可能になりました。
高齢者世代の金融資産を若い世代に、早期に多額の金額を移転し教育による人材の育成や経済が活性化するように作られた制度と言われています。
教育資金一括贈与の非課税制度の要件
教育資金一括贈与の非課税制度の適用を受けるためには、いくつかの要件があります。その要件について表にまとめました。下記の表をご覧下さい。
項 目 | 要 件 |
適用期間 | 平成25年4月1日から平成31年3月31日までに金融機関に拠出されたもの |
贈与者(あげる人) | 受贈者(もらう人)の直系尊属:父母、祖父母、曾祖父母等 |
受贈者(もらう人) | 贈与者(あげる人)の直系卑属:子、孫等(ただし、30歳未満) |
非課税限度額 | 受贈者(もらう人)1人につき1,500万円(ただし、学校等以外の費用については500万円) |
預入先 | 信託銀行、銀行、証券会社等 |
目的 | 教育に関する資金の支払いのため |
適用期間
この平成31年3月31日までの期間とは、教育資金として使い切る期限のことではなく、金融機関と「教育資金管理契約」を結んで、教育資金口座を開設し預け入れ、適用を受けるための期限のことをいいます。
受贈者(もらう人)の要件
もらう人の要件は、30歳未満の子や孫等(贈与者の直系卑属)ですが、30年11月時点において、政府は、所得要件をつける方向で検討しています。
非課税限度額
非課税限度額は、受贈者(もらう人)1人につき1,500万円まで、学校以外の費用は500万円までが非課税となります。最大で1,500万円のため、学校以外で費用が500万円あった場合は、残りの非課税限度額は1,000万円となります。
この非課税限度額の注意点は、金額はもちろんですが、「受贈者(もらう人)1人につき」という箇所です。
例えば、1人の孫に、父方の祖父と母方の祖父の両方から、それぞれ1,000万円ずつ合計2,000万円の贈与があっても、非課税の対象となる金額は1,500万円です。そのため、500万円は通常の贈与と同じ扱いで税金がかかるため注意が必要です。
贈与契約の締結
贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)との間で、贈与契約を結ぶ必要があります。また、金融機関からは契約書の提示を求められるため、贈与契約書の作成が必要です。
教育資金管理契約
金融機関と教育資金管理契約を締結します。信託銀行と契約する場合は、契約者は贈与者(あげる人)、銀行や証券会社と契約する場合は、契約者は受贈者(もらう人)となります。そして、受贈者(もらう人)名義で教育資金口座を開設し、一括で預け入れます。
その際に、金融機関に「教育資金非課税申告書」を提出し、金融機関経由で税務署に提出しなければなりません。
適用期限内であれば、複数回に分けることも可能です。例えば、1回目に500万円、2回目に1,000万円というように預け入れることもできます。ただし、このような場合には、金融機関に「追加教育資金非課税申告書」を提出する必要があります。
教育資金一括贈与の非課税制度の手続きの流れ
- STEP.1贈与契約の締結贈与者と受贈者の間で贈与契約を結びます。その際に、贈与契約書を作成しましょう。
- STEP.2教育資金管理契約金融機関と教育資金管理契約を結びます。受贈者(もらう人)名義の教育資金口座を開設し入金します。
- STEP.3教育資金非課税申告書の提出金融機関経由で、教育資金非課税申告書を税務署に提出します。
- STEP.4教育資金の支払い、教育資金口座からの払い出し入学金、授業料等を学校等に支払い、その金額を教育資金口座から払い出します。金融機関には学校等が発行する領収証を提出します。
- STEP.5契約の終了①受贈者(もらう人)が30歳に達した時、②受贈者(もらう人)が亡くなった時、③ 教育資金口座の残高が0円になった時に契約は終了します。
①受贈者(もらう人)が30歳に達した時
受贈者が30歳になった時に教育資金口座に残高が残っている場合は、その金額に贈与税がかかります。
②受贈者(もらう人)が亡くなった時
受贈者が亡くなった時に教育資金口座に残高が残っている場合は、その金額は受贈者の遺産のため相続税がかかります。
③教育資金口座の残高が0円になった時
教育資金口座の残高が0円になった時に合意により契約は終了します。自動的に終了するわけではありません。ただし、平成31年3月31日時点で残高が0円の場合は、制度がなくなるため、合意なく契約は終了します(令和3年(2021年)3月31日まで2年間延長の方向です)。
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教育資金一括贈与の非課税制度の対象となる教育費について
対象となる教育費の範囲は、以下となります。
- 入園料、入学金
- 保育料、授業料
- 入園・入学試験の受験料(検定料)
- 修学旅行費
- 施設設備費
- 学用品費
- 学校給食費 等
「学校等」の範囲は以下の通りです。
- 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、中等教育学校
- 大学(大学院、短期大学、専門職大学)
- 高等専門学校
- 専修学校、各種学校
- 保育所(保育所に類する施設)、認定こども園
- 外国の教育施設のうち一定のもの
- 水産大学校、航空大学校、国立看護大学校
- 職業能力開発総合大学校 等
- 教育(学習塾等)に関する役務の提供の対価や施設の使用料
- スポーツ(野球、水泳等)または文化芸術に関する活動(絵画、ピアノ等)、教養の向上のための活動に係る指導への対価
- 通学定期代
- 留学渡航費 等
「学校等以外」の範囲は以下の通りです。
- 学習(学習塾、家庭教師等)
- スポーツ(野球チーム、スイミングスクール等)
- 文化芸術活動(絵画教室、ピアノ教室等)
- 教養の向上のための活動(習字等)
注意事項として、例えば「下宿代」は、教育資金一括贈与の贈与税非課税の対象にはなりません。ただし、大学等の寮にに入り大学等に対して支払われたことが確認できる場合は教育資金一括の非課税の対象になります(1,500万円が上限)。
また、「学校の制服や通学かばん等」を業者に支払った場合は、それが学校で必要なもので、かつ、学校が書面を通じて業者から購入を依頼した場合は教育資金一括贈与の非課税の対象になります(500万円が上限)。
教育資金一括贈与の非課税制度のメリット
教育資金一括贈与の非課税制度について、以下のメリットが挙げられます。
- 子や孫への教育資金として目的を明確にでき、教育資金としてのみ利用できるように縛りをかけることが可能。
- すぐに支払いが必要な教育費としてではなく、事前に、計画的に一括で多額のお金を非課税で贈与できる(相続対策が可能)。
- この制度を利用して贈与した財産については、贈与者(あげる人)が亡くなっても相続財産に加算されることはない。
実際に相続が発生した場合には、相続開始前3年以内に贈与された財産は、必ず相続財産に加算して遺産総額を算出しなければなりませんが、教育資金一括贈与の非課税制度については、このような場合でも加算する必要はありません。
教育資金一括贈与の非課税制度のデメリット
教育資金一括贈与の非課税制度について、以下のデメリットが考えられます。
- 相続対策にはなるが、一度贈与してしまうと贈与者(あげる人)に払い戻すことはできないため、贈与者の今後の生活費等の資金繰りを十分に検討する必要がある。
- 教育費はその都度、必要な金額を支払う場合は非課税であるため、「一括」と「その都度」について十分に比較検討しなければ、後から贈与税がかかってしまう場合がある(「一括」を選択した場合に)。
- 受贈者(もらう人)が30歳に達するまでに使い切らなければ贈与税がかかる。
- 金融機関と教育資金管理契約を結ぶ必要があり、手間がかかる。
- 教育費として支払った領収証等をその都度金融機関に提出しなければならず、手間がかかる。
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まとめ
今回の「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」は、相続税対策がしやすい等のメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
この制度の適用を受ける前に、再度デメリットも確認していただき、あげる人は、実行後に後悔しないように、しっかりと今後の資金計画も立ててほしいと思います。
参考 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税国税庁生命保険を活用した相続税の節税対策~保険の種類は?受取人は?保険料の贈与とは~連年贈与の注意点等わかりやすく解説!
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