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目次
サラリーマンの源泉徴収・年末調整制度について
通常、サラリーマンの給与にかかる税金は、毎月源泉徴収(給与から天引き)されて、会社が国や地方自治体にその税金(所得税・住民税)を納付します。
住民税は、地方自治体が前年の給与額をもとにして計算し、その年の6月から翌年の5月わたって給与から天引きされます。
毎月源泉徴収される所得税(国税)は見込み金額のため、最終的に年末調整によって差額を調整し、1年間の正確な税金を算出します。給与から天引きされた見込み税額が年末調整によって確定した税額より多かった場合は、差額は本人に戻されます(還付されます)。
一般的に、ほとんどのサラリーマンは源泉徴収⇒年末調整という2つの制度があることによって、確定申告を行う人は少ないのではないでしょうか。
ただし、サラリーマンでも確定申告をしなければならないケース(義務)や確定申告すると税金が戻ってくるケース(任意)等、確定申告が関係してくる人もいます。
また最近では、政府が「働き方改革」をすすめています。この働き方改革によって副業を行う人も増えています。この副業でも、所得によって確定申告が必要なケースと不要なケースがあります。
まずは、サラリーマンでも確定申告をしなければならないケースをみていきます。
サラリーマンが確定申告をしなければならない場合
以下のような場合は、サラリーマンでも確定申告が必要になります。ご確認下さい。
- 給与の年間収入金額(その年中に支払いを受ける給与金額)が2,000万円を超える場合
- 1か所の勤務先から給与の支払いを受けている人で、給与所得以外(副業等)の所得金額が20万円を超える場合
- 2か所以上の勤務先から給与の支払いを受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える場合
- 同族会社の役員で、給与以外にその同族会社から貸付金の利子や不動産の貸し付けによる家賃収入がある場合
- 災害の被害に遭い、災害減免法の規定の源泉徴収の猶予または還付を受けた場合
- 源泉徴収義務のない人から給与の支払いを受けている場合
主たる勤務先以外から給与の支払いを受けている場合や給与以外に収入がある場合には必ず確認しましょう。
参考 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人国税庁
次に、確定申告をすると税金が戻る可能性のあるケースについてみていきます。
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サラリーマンが確定申告をすると税金が還付される可能性がある場合
サラリーマンでも、確定申告をすることで税金が戻ってくる(還付される)ケースは、以下のような場合があげられます。これらのケースは、年末調整では調整できない控除がある人が当てはまります。
- 新築または中古住宅を購入、増改築等で住宅ローンを組んだ場合(住宅ローン控除)
- 医療費の支払いが年間10万円を超えた場合(医療費控除)
- スイッチOTC医薬品の購入が年間12,000円を超えた場合(セルフメディケーション税制:医療費控除の特例)
- 国に定められた特定団体に寄附をした場合やふるさと納税を行った場合(寄附金控除)
- 災害や盗難等で被害に遭った場合(雑損控除)
- 1年間に支払った特定支出の合計が給与所得控除額の1/2を超えた場合(特定支出控除)
所得控除や税額控除(サラリーマンの節税対策)についてこのサイト内で詳しくご案内しています。こちら👇をご覧下さい。
【保存版】サラリーマンの節税対策。所得控除や税額控除、副業を活用したおすすめの節税方法。
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サラリーマンが副業によって収入を得た場合
サラリーマンの副収入の所得の種類
インターネットの普及や政府の「働き方改革」の推進の影響等でサラリーマンでも副業を行っている人たちがますます増えてきているのではないでしょうか。例えば、インターネットで広告収入を得るアフィリエイト等が代表的です。
サラリーマンの副収入の主な所得は、勤務先以外のアルバイト等の給与所得、家賃収入を得る不動産所得、アフィリエイト等の副業の所得があげられます。アフィリエイト等の副業は「雑所得」として申告する必要があります。
(サラリーマンの副収入の所得の種類)
- 給与所得(勤務先以外のアルバイト等)
- 不動産所得(家賃収入等)
- 雑所得(アフィリエイト等)
勤務先以外から給与収入がある場合、原則2か所以上から給与を受け取るため確定申告が必要ですが、その勤務先以外から受け取る給与収入が20万円以内(年間)であれば確定申告の必要はありません。
副業の所得について(アフィリエイトの必要経費は)
アフィリエイト等の副業収入についてはどうでしょうか。まずは、以下の図をご覧下さい。
所得金額とは、収入金額から必要経費を引いた後の金額でオレンジ色の部分のことをいいます。必要経費とは、収入を得るために必要で、かつ、関連のある支出(経費)のことで、例えば、アフィリエイトであれば以下のような支払いがあげられます。
- パソコンやパソコンに関連する消耗品等の支出
- ドメイン代・サーバー代
- サイトで使用する素材代、画像代、テンプレート代
- 携帯電話・インターネット料金等の通信費
- PPC広告等の広告費
- 書籍代、雑誌代
- アフィリエイト商材
- セミナー参加等の研修費
- 取材等の旅費や宿泊費
- 記事やデザイン等を依頼した時の外注費 等
必要経費として証明するために、支払った後の領収書やレシートは必ず保管して下さい。また、ネット上で購入したものも明細を打ち出しておく等の方法で保管しておくと良いです。
収入からこれらの必要経費を引いた後の金額が所得金額ですが、この所得金額が20万円を超えている場合は確定申告をしなければなりません。
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サラリーマンの副業の確定申告スケジュール
副業を行って所得金額20万円を超えたサラリーマンは確定申告をする必要があります。その確定申告書の提出のスケジュールは、以下のような流れで行います。
〈(例)勤務先1か所と副業収入のあるサラリーマン〉
- 1月から12月勤務先(1か所)からの給与収入と副業収入を得る毎月勤務先から源泉徴収されて給与を受け取ります。また、副業先から収入を受け取ります。副業に関係する経費を支払ったら、その都度領収書等を保管します。
- 11月下旬から12月勤務先へ年末調整に関する申告書・証明書を提出勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」、「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出します。その際、生命保険や地震保険等に加入している人はそれぞれの控除証明書を添付します。また、住宅ローン控除(2年目以降)がある人は、「住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅ローン年末残高証明書」を提出します。
- 12月年末調整勤務先で年末調整を受けます。
- 翌年1月から2月源泉徴収票を受け取る勤務先から「給与所得の源泉徴収票」を受け取ります。また、 副業の収入と必要経費を集計します。収入はもれなく拾い出し、必要経費は領収書・レシート等から集計しましょう。税務署から確定申告書を入手します。国税庁のホームページからダウンロードもできます。
- 2月16日から3月15日まで確定申告書を税務署へ提出、所得税の納付確定申告書を作成します。勤務先から受け取った給与所得と副業の雑所得を合わせて申告します。インターネット上で申告書作成し提出することもできます。納付税額がある場合は、金融機関等から所得税を納付します。確定申告は必ず期限内に行いましょう。
確定申告書の第二表の下部(申告書Aなら左下、申告書Bなら右下)の住民税に関する事項に、住民税の徴収方法の選択があります。その項目の「自分で納付」に〇を付けて下さい。
※「自分で納付」に〇を付けても、完全に勤務先に知られないようにできるとは言い切れません。それでも、必ず忘れずに「自分で納付」欄にチェックを入れるようにして下さい。
勤務先が副業を許可しているか事前に就業規則等で確認しておく必要があります。
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まとめ
以上、サラリーマンの確定申告についてご説明しました。
サラリーマンが確定申告しなければならないケース、確定申告をすると税金が戻る可能性のあるケース、サラリーマンの副業の確定申告等、どのケースも頭に入れておかなければいけない大切なことです。
特に、確定申告をしなければならないケースで、あえて申告していなかったり、申告を忘れていた場合には、無申告加算税や延滞税等のペナルティがあります。
税務署も以前は分かりにくかったインターネット関連のビジネスについて豊富な知識を持つようになっています。
会社に内緒で副業を行っている場合に、確定申告によって会社に知られてしまうのではないかといった不安もあると思います。
それでも、確定申告をしていなかったことによって税務署に指摘された場合には、ペナルティーが課せられるだけではなく、税務署から会社に知られてしまい、ますます会社に居づらくなってしまう可能性もあります。
副業を行う場合には、副業を始める前に必ず自分の会社の就業規則を確認しましょう。そして、確定申告が必要な場合は、必ず期限内に申告・納税していただきたいと思います。
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