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目次
介護離職や介護職員不足等の介護問題について
家族を介護するために退職する「介護離職」が総務省の2017年就業構造基本調査(5年ごとに実施される)によると約9万9千人もいるとのことです。前回の調査時とほぼ変わらない状況です。
介護離職が多いということは、介護保険制度がしっかりと機能していないのか、または、介護保険の制度や仕組みがあまり世の中の人たちに知られていないのか、いずれにしても、現在の日本の人口の4人に1人が65歳以上という超高齢社会において、この状況はけっして良いとは言えません。政府や市区町村等のさらなる積極的な改善施策が必要だと考えます。
介護の中心となっている人たちは、中高年の世代が多いです。その人たちが一度介護離職してしまうと、再度就職することはかなり困難な状況に陥ります。たとえ再就職できたとしても、正社員で採用されることはなかなか難しいとテレビのニュース等のマスコミ報道でもよく耳にします。
このような状態では、介護離職した人たちは、介護が終わった後に今度は自分自身の老後の心配をしなければなりません。政府や市区町村、企業が一体となって取り組まなければ、この問題は改善されないでしょう。
また、介護離職を少しでも減らすためには、介護サービスを充実させることだけではなく、そのサービスを世の中の人たちに徹底して周知させることが必要です。ただし、介護離職問題と同時に「介護職員不足」も大きな問題の一つとなっています。
せっかく介護サービスを充実させても、介護職員の不足により介護を必要とする人たちを施設に受け入れることができない等の大きな問題につながってしまいます。
介護は、とてもきつい仕事の割りに賃金は全産業の平均と比較して低いことから、離職者が多い業界であることが知られています。業界全体の賃金が上がらなければ必要な人員を確保することはできません。やはり、この問題も政府に改善するための対策を期待するしかありません。
介護については、今の私にとっても他人ごとではありません。私自身ができることとして、これらの介護問題の改善のために、少しでも介護保険制度の仕組みやサービスの内容等についても情報発信できれば良いと考えています。
厚生労働省は、30年12月19日、31年10月の消費税増税に向けて、介護職員の処遇の改善を行うことを発表しました。
その内容は、職場のリーダーとなる勤続10年以上の介護福祉士の賃金を最低1名は月額8万円上げるか、年収を全産業平均並みの440万円以上にするというものです。
長く働くほど賃金が上がるしくみを作り、介護現場の人材の定着につなげたいとう考えから、以上の処遇改善を行うことを決めました。
〈30年12月19日時点厚生労働省より〉
介護保険の基本的なしくみ
保険者とは
介護保険とは、介護が必要な高齢者等の人たちとその家族を支えるため、サービスの給付を行う公的な制度です。介護保険の運営は、市区町村(市区町村および東京23区)が行います。保険料を集め介護保険を運営する市区町村のことを「保険者」と呼びます。
保険者は、介護を必要とする利用者の人たちに適切なサービスを提供するため、介護保険事業計画を作成します。また、保険料を被保険者から集め、介護保険を運営します。介護認定を行ったり、介護保険被保険者証の発行、サービス提供の事務等も行います。
被保険者とは
被保険者とは、介護保険の加入者のことで介護保険料を支払う40歳以上の人たちのことをいいます。公的医療保険と同様に強制加入となっています。被保険者は以下の2種類に分けられます。
- 第1号被保険者:65歳以上の人
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の人
※第1号被保険者、第2号被保険者ともに新規に被保険者となった時、手続きや届出は不要です。
①第1号被保険者(65歳以上の人)
原則、第1号被保険者の人たちが、介護保険のサービスの対象です。支援や介護が必要な場合には、申請により予防給付や介護給付のサービスを受けることができます。
第1号被保険者の人たちも保険料を納付します。保険料は市区町村に納付し、納付金額は所得によって異なります。納付方法については、年金額が年額18万円以上受け取っている人たちは、その年金から直接天引きされます(特別徴収)。
②第2号被保険者(40歳以上65歳未満の人)
第2号被保険者は、特定疾病の場合のみ介護保険のサービスを受けることができます。保険料は、加入している健康保険や国民健康保険などの公的医療保険に納め、納付金額は所得によって異なります。納付方法は、サラリーマンであれば一般的に、公的医療保険料と一緒に給与から天引きされます。
第2号被保険者(40歳以上65歳未満の人)でも介護保険サービスが受けられるケース
40歳以上から介護保険に加入し保険料を納めることになりすが、原則、介護保険のサービスを受けることができる人は65歳以上の人たち(第1号被保険者)です。ただし、40歳以上65歳未満の人たち(第2号被保険者)でも、国が定める特定疾病にかかっている人たちは介護保険のサービスを利用することができます。
①がん末期 ②関節リウマチ ③筋萎縮性側索硬化症
④後縦靭帯骨化症 ⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥初老期における認知症(若年性認知症)
⑦パーキンソン病と関連疾患 ⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症 ⑩早老症 ⑪多系統萎縮症
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患 ⑭閉塞性動脈硬化症 ⑮慢性閉塞性肺疾患
⑯両側の膝関節または膝関節に著しい変形を伴う変形性関節症
特定疾病で介護保険のサービスを受けるためには、65歳以上の人たち(第1号被保険者)と同様に要介護認定の申請を行い、認定を受けなければなりません。主治医の意見書に特定疾病に関する記載が必要になります。サービスの内容等は、65歳以上の人たち(第1号被保険者)と同じです。
参考 介護保険制度の概要厚生労働省
介護保険を利用するための手続きの流れ
介護保険サービスを利用するためには、市区町村に申請手続きが必要になります。申請手続きの流れをご説明します。
① 市区町村役場に要介護認定の申請手続きを行う
まず最初に行うことは、「基本チェックリスト」に記入することです。基本チェックリストは市区町村役場の窓口で受け取ります。基本チェックリストとは25の項目によって、要介護状態になる可能性があるか確認する書類です。この基本チェックリストによって、要介護認定を申請するかどうか検討することになります。
次に、介護保険サービスを希望する場合は、要介護認定の申請を行います。申請する際には、「介護保険(要介護認定・要支援認定)申請書」と「介護保険証」を提出します。手続きには、「マイナンバー」も必要です。
② 認定調査・認定審査
市区町村の調査員が利用希望者の自宅に訪問し、訪問調査が行われます。
〈訪問調査で聞かれる主な項目〉
- 身体動作について :手や足にまひがあるかどうか、自分で寝返りができるか等
- 生活機能について :食べ物を飲みこむ時にのどにつかえるかどうか、自分で歯磨きができるか等
- 認知機能について :自分が思っていることを相手に伝えられるかどうか、毎日の日課を理解できているか等
- 社会生活について :薬を自分で飲めるか、自分でお金の管理ができるか、買い物は問題なくできるか等
- 精神状態や行動について :物を盗まれた等と思うことがあるか、感情が不安定になることがあるか等)
- 最近受けた治療について :点滴をうけたか、痛みの軽減処置を受けたか、床ずれの治療を受けたか等)
主治医等から「主治医の意見書」が提出され、一次判定、二次判定によって、要介護状態区分が判定されます。一時判定はコンピュータ判定、二次判定は介護認定審査会によって行われます。
③ 判定内容(要介護認定)の通知が届く
申請から認定まで約30日かかります。
認定結果が「要支援1、2」や「要介護1~5」であれば、介護保険のサービスを受けることができますが、「非該当(自立)」と認定された場合は、介護保険のサービスは利用できません。
区 分 | 内 容 |
非該当(自立) | 日常生活に支援や介護を必要としない、自立できている状態。介護保険のサービスを受けることはできません。 |
要支援1 | 基本的な日常生活はほぼ自分でできるが、要介護状態の予防のために、また、現状改善のために少しの支援が必要な状態。 |
要支援2 | 日常生活に何らかの支援が必要であるが、支援することにより、要介護状態を予防し、改善する可能性がある状態。 |
要介護1 | 立ち上がりや歩行等不安定さがあり、日常生活に部分的な介護が必要な状態。 |
要介護2 | 立ち上がりや歩行等に支えが必要であり、排泄や入浴等に部分的な介護が必要な状態。 |
要介護3 | 立ち上がりや歩行、排泄、入浴等ほぼ全面的に介護が必要な状態。 |
要介護4 | 日常生活全般において介護なしでは生活することが困難な状態。 |
要介護5 | 日常生活全般に全面的な介護が必要で、介護なしではほぼ生活できない状態。 |
④ ケアマネージャーを選んで契約し、ケアプランを作成する
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは、介護保険のサービスを利用する上で相談相手となる人です。サービスを利用する際の窓口や調整役を担い、ケアプランを作成します。ケアマネージャーは、5年ごとに登録更新することが義務付けられ、また、更新の時には研修を受ける必要があります。
ケアプランは、介護保険のサービスを利用する人の援助目標に向けて、サービスの種類や内容、スケジュール等を決めた計画のことをいいます。介護保険のサービスは、このケアプランに沿ってすすめられます。
要支援の場合(介護予防ケアプラン)は、地域包括支援センターで作成します。
ケアマネージャーやサービス事業者のリストは、要介護認定の申請の際に市区町村役場の窓口でもらうことができます。
⑤ サービス事業者等と契約し、介護保険のサービスを受ける
利用者は、サービス事業者と利用するサービスごとにそのサービスを行う事業者と契約を結びます。サービス事業者は、一般的に、ケアマネージャーに紹介してもらうことが多いです。後で問題が起こらないように、「重要事項説明書」や「契約書」は慎重に確認しましょう。
日本全国のサービス事業者の情報は以下の厚生労働省のサイトをご覧下さい。
介護事業所・生活関連情報検索(介護サービス情報公表システム)
介護保険サービスにかかる費用について
自己負担割合
介護保険のサービスを受けると利用料を支払わなければなりませんが、利用者が支払う金額は、基本的にそのうちの1割の金額を負担します。ただし、一定以上の所得がある人は2割負担、さらに、平成30年8月より新たに3割負担が設けられました。
所得区分 | 自己負担割合 |
下記2割、3割負担以外の人 | 1割 |
・本人の合計所得金額が160万円以上
・年金収入等が単身280万円以上、夫婦世帯346万円以上 |
2割 |
・本人の合計所得金額が220万円以上
・年金収入等が単身340万円以上、夫婦世帯463万円以上 |
3割 |
※年金収入等とは、年金収入とその他の合計所得金額の合計。
この介護保険の自己負担割合は、住民税課税で利用される前年所得のデータで決定されます。何割負担かは「介護保険負担割合証」に記載され、その有効期間は、8月1日から翌年7月31日までの1年間です。介護保険負担割合証は、要介護認定者全員に発行されます。
自己負担割合が3割となると負担がかなり増える印象ですが、月額の上限(44,400円)が設けられているため、この上限を超えた場合は申請により払い戻されます。
1か月の自己負担の上限(高額介護サービス費)
介護保険サービスの自己負担分には、利用者の負担を少しでも軽くするために、1か月の上限が定められています。この上限を超えた額は、市区町村に申請することによって戻ってきます。
自己負担額が1か月の上限を超えた利用者には、市区町村から「高額介護サービス費支給申請書」が届きます。この書類を市区町村に一回提出すると、それ以降は高額介護サービス費が自動的に計算され、指定の口座に振り込まれるようになります。
所得区分 | 上限額 |
現役並み所得者
世帯に65歳以上で課税所得145万円以上の人がいる場合 |
世帯合計で44,400円 |
65歳以上の人が1人なら 収入383未満
65歳以上の人が2人以上なら 合計収入520万円未満 |
世帯合計で44,400円 (※市区町村へ申請が必要です。) |
一般世帯
世帯に住民税を納めている人がいる場合 |
世帯合計で44,400円 |
世帯全員が住民税非課税の場合 | 世帯合計で24,600円 |
年金収入とその他の合計所得金額の合計が80万円以下の人
老齢福祉年金の受給者、生活保護の受給者 |
個人で15,000円 |
居宅サービスの1か月の支給限度額(介護保険から給付される1か月の限度額)
要介護状態区分によって、介護保険サービス(居宅サービス)の支給限度額が異なります。要介護状態区分が高い人ほど支給限度額は高くなりますが、サービスの利用が増えれば自己負担額は多くなります。
要介護状態区分 | 支給限度額(単位) | 支給限度額(1単位10円の地域の場合) | 自己負担額(2割負担の人の例) |
要支援1 | 5,003単位 | 50,030円 | 10,006円 |
要支援2 | 10,473単位 | 104,730円 | 20,946円 |
要介護1 | 16,692単位 | 166,920円 | 33,384円 |
要介護2 | 19,616単位 | 196,160円 | 39,232円 |
要介護3 | 26,931単位 | 269,310円 | 53,862円 |
要介護4 | 30,806単位 | 308,060円 | 61,612円 |
要介護5 | 36,065単位 | 360,650円 | 72,130円 |
※自己負担の金額は、2割負担の人の例です。1割負担の人は、2割負担の人の1/2の金額になります。
※介護保険のサービス利用料等は全国一律で「単位」で表されます。地域によって物価や人件費等が異なるため、1単位いくらかは地域ごと、サービスごとに異なります。通常1単位=10円が多いですが、最も高い東京23区の訪問介護サービスは、1単位=11.40円です。
介護保険のサービスについて
介護保険のサービスはどのようなものがあるのでしょうか。介護保険のサービスには多くの種類があります。
「自宅に訪問してもらって利用するサービス」や「自宅から通って受けるサービス」、「施設に入所等して利用するサービス」があり、身体介護や生活扶助の他、医療的な手当やリハビリ等を受けることができます。
また、介護に必要な福祉用具の購入費用や介護のためのリフォーム費用の支給を受けることもできます。さらに、その地域の住民限定の「地域密着型サービス」もあります。
地域密着型サービスは、平成17年に開始されました。介護が必要になった際に、住み慣れた地域で暮らすことができるように、市区町村の指定、監督により提供されるサービスです。原則、その市区町村に住む人が利用できます。各市区町村のニーズに合わせた、居宅サービスから施設サービスまできめ細かなサービスを受けることができます。
介護保険のサービスには、2種類の給付があります。要介護の人(介護を必要としている人)が受けられる介護保険サービスを「介護給付」といい、また、要支援の人(要介護よりも軽い状態の人)が受けられる介護保険サービスを「予防給付」といいます。「予防給付」は病気の進行を防いで、自立を促すことが目的です。
身体上または精神上の障害があるため、日常生活における基本的な動作の全部または一部について、6か月以上継続して常時介護を必要とする状態のことをいいます。
身体上または精神上の障害があるため、日常生活における基本的な動作について、常時介護を必要とする状態になることを防ぐために支援を必要とすると認められ、または継続して日常生活を送るのに支障があると認められる状態のことをいいます。
自宅に訪問してもらって利用するサービス
自宅に来てもらって受けることができるサービスには、以下のサービスがあります。
訪問介護
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「訪問介護」とは、ホームヘルパー(訪問介護員)や介護福祉士が訪問して、食事介助や排泄介助等の身体介助や掃除、買い物、調理等の生活援助を行うサービスのことをいいます。
・20分以上30分未満:248円
・30分以上1時間未満:394円
(生活援助)
・20分以上45分未満:181円
・45分以上:223円
夜間対応型訪問介護(地域密着型サービス)
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「夜間対応型訪問介護」とは、地域密着型サービスの一つで、夜間に利用できる訪問介護です。夜間の介護を手厚くサポートするため、夜間に職員が定期的に巡回して日常的な介助を行ったり(定期巡回)、利用者からの随時の通報で訪問介護を行ったりします(随時訪問)。
・定期巡回(1回):378円
・随時巡回(1回):576円
訪問入浴介護
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「訪問入浴介護」とは、原則、看護師1人と介護職員2人の3名が、利用者の自宅に簡易浴槽を持ち込んで、入浴の介助を行います。入浴だけではなく、事前の健康状態のチェックや入浴後のケア等も行うサービスです。
このサービスを利用するためには、事前に主治医の協力が必要です。
利用者(要支援1、2の人)の自宅に浴室がない場合や病気等で通所施設等での入浴サービスが受けられない場合に受けられるサービスです。看護師1名と介助職員1名の2名で行いますが、医師が認めた場合は介助職員2名で行うことができます。
訪問看護
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「訪問看護」とは、主治医の指示に基づいて行われるサービスで、看護師や保健師等が利用者の自宅に訪問し、療養上の世話や診療の補助、療養上の相談や指導等を行うサービスのことをいいます。
・20分以上30分未満:396円
・30分以上1時間未満:569円
(訪問看護ステーション)
・20分以上30分未満:467円
・30分以上1時間未満:816円
利用者は要支援1、2の人で、主治医が必要と認めた場合に利用できる介護予防を目的とした訪問看護サービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(地域密着型サービス)
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とは、看護師や訪問介護員等が24時間体制で対応してくれる介護と看護を組み合わせたサービスで、1日数回の「定期巡回」と「随時対応、随時訪問」を行います。
1か月あたり
・要介護1:8,267円
・要介護2:12,915円
・要介護3:19,714円
・要介護4:24,302円
・要介護5:29,441円
訪問リハビリテーション
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「訪問リハビリテーション」とは、主治医の指示に基づいて行われるサービスで、病院等に通うことが困難な利用者の自宅に理学療法士や作業療法士、言語聴覚士等が訪問して機能回復のための訓練等のリハビリテーションを行います。
以下の特別なサービスには加算があります。
・リハビリテーションマネジメント加算:1か月 230円(「Ⅰ」の場合)
・短期集中リハビリテーション実施加算:1日 200円
・サービス提供体制強化加算:1回 6円
居宅療養管理指導
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
通院が難しい利用者のために、医師や歯科医師、歯科衛生士、保健師、看護師、准看護師、薬剤師、管理栄養士等が利用者の自宅に訪問して、療養上の管理や指導を行います。往診ではないため、医療行為は行われません。
・1回:507円
(医療機関の薬剤師 月2回まで)
・1回:558円
(薬局の薬剤師 月4回まで)
・1回:507円
(看護師、保健師 ケアプラン新規作成、変更等してから6か月に2回まで)
・1回:402円
(歯科衛生士 月4回まで)
・1回:355円
(管理栄養士 月2回まで)
・1回 537円
利用者は要支援1、2の人で介護予防を目的とした療養上の管理等について指導やアドバイスを行うサービスです。
次は、「自宅から通って受けるサービス」についてです。ご覧ください。
自宅から通って受けるサービス
自宅から通って受けることができるサービスには、以下のサービスがあります。
通所介護
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「通所介護」とは、一般的に「デイサービス」と呼ばれ、施設に通って機能訓練やレクレーション等を行い、食事や入浴等のサービスを受けます。施設への送迎もサービスに含まれます。
通所介護サービスは、介護を行う家族にとって負担が軽減するというメリットが大きいです。
・要介護1:645円
・要介護2:761円
・要介護3:883円
・要介護4:1,003円
・要介護5:1,124円
※個別機能訓練加算、入浴介助加算等、利用するメニューによって別に加算されます。
介護予防通所介護は、平成29年3月に終了しました。要支援1、2の人のサービスは、市区町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業が行っています。
通所リハビリテーション
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「通所リハビリテーション」は、一般的に「デイケア」と呼ばれ、医療施設や介護老人保健施設に通い、主治医の指示に基づいて、理学療法や作業療法、言語聴覚療法等によるリハビリテーションのサービスを受けます。施設への送迎もサービスに含まれます。
通所リハビリテーションは、医師が必ず配置されているため、医学的管理が必要な人にとっては安心のサービスです。
・要介護1:667円
・要介護2:797円
・要介護3:924円
・要介護4:1,076円
・要介護5:1,225円
※リハビリテーションマネジメント加算、入浴介助加算等、利用するメニューによって別に加算されます。
要支援1、2の人が介護予防のために、日常生活の支援を受けるサービスです。
認知症対応型通所介護(地域密着型サービス)
利用対象者は、「要介護1以上で認知症」の人です。
「認知症対応型通所介護」とは地域密着型サービスで、認知症の高齢者の人が利用できる通所介護(デイサービス)です。
一般的に、10人程度の少人数の利用者で行われるサービスで、単独型(民家等を施設として利用するタイプ)、併設型(医療機関、介護老人保健施設等に併設されるタイプ)、共用型(グループホーム等の共用部分を利用するタイプ)の3つのタイプがあります。
基本的なサービスの内容は変わりませんが、利用料は異なります。また、一般の通所介護よりやや高めになります。どのタイプも施設への送迎はサービスに含まれます。
利用するためには認知症の診断が必要で、市区町村によっては、「認知症高齢者の日常生活自立度」の確認が必要になる場合があります。
・要支援1:852円
・要支援2:952円
・要介護1:985円
・要介護2:1,092円
・要介護3:1,199円
・要介護4:1,307円
・要介護5:1,414円
認知症の人で要支援1、2の人が介護予防を目的として利用できます。
施設に短期間入所等して利用するサービス
短期間施設に入所して、日常生活の援助等を受けることができる介護保険のサービスがあります。以下、「生活介護」と「療養介護」の2種類についてご説明します。
短期入所生活介護
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「短期入所生活介護」とは、一般的に「ショートステイ」と呼ばれ、短期入所専用施設や特別養護老人ホームを利用して、施設に短期間(連続30日以内)入所し日常生活の援助等を受けるサービスです。
従来型個室・多床室
・要介護1:584円
・要介護2:652円
・要介護3:722円
・要介護4:790円
・要介護5:856円
ユニット型個室・個室的多床室
・要介護1:682円
・要介護2:749円
・要介護3:822円
・要介護4:889円
・要介護5:956円
※費用は施設の種類やサービスによって異なる場合があります。また、連続した利用が30日を超えた時には、31日目以降は全額自己負担となります。
利用者は要支援1、2の人で介護予防を目的としたサービスです。
短期入所療養介護
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「短期入所療養介護」とは、一般的に「医療型ショートステイ」と呼ばれ、病院・クリニック(介護療養型医療施設)や介護老人保健施設を利用して、施設に短期間(連続30日以内)入所し医師や看護師による療養上の世話や機能訓練等を受けるサービスです。
従来型個室
・要介護1:753円
・要介護2:798円
・要介護3:859円
・要介護4:911円
・要介護5:962円
多床室
・要介護1:826円
・要介護2:874円
・要介護3:935円
・要介護4:986円
・要介護5:1,039円
ユニット型個室・個室的多床室
・要介護1:832円
・要介護2:877円
・要介護3:939円
・要介護4:992円
・要介護5:1,043円
※費用は施設の種類やサービスによって異なる場合があります。また、連続した利用が30日を超えた時には、31日目以降は全額自己負担となります。
利用者は要支援1、2の人で、介護予防を目的としたサービスです。
施設に入所等して利用するサービス
介護保険によって入所できる公的な施設のことを「介護保険施設」といいます。介護保険施設に入所して、生活援助、身体介護、栄養管理等のサービスを受けます。
介護保険施設には、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院の4種類の施設があります。
また、一般的に費用は割高ですが、民間の有料老人ホーム等で都道府県に指定された施設であれば、介護保険を利用することができます(「特定施設入居者生活介護」)。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
利用対象者は、原則「要介護3以上」の人です。
「介護老人福祉施設」とは、都道府県の指定を受けた定員30人以上の施設で特別養護老人ホームとも呼ばれています。日常生活の介護や機能訓練、レクリエーション等のサービスを受けることができます。
一般的に、医療面にはあまり重点は置かれていませんが、施設によっては夜間看護を強化しているところや終末期の看取り等を行っているところもあります。
・要介護3:695円
・要介護4:763円
・要介護5:829円
※施設によって異なる場合がありますが、月額約7万円~14万円程度かかります。
介護老人保健施設(老健)
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「介護老人保健施設」とは、日常生活の支援だけではなく、医師、看護師による医療サービスや理学療法士等によるリハビリテーション等のサービスを受けることができます。
病状は安定しているものの一定の医療や介護、機能訓練が必要な人を対象にしています。早期の在宅復帰を目指し、リハビリテーション等行う施設です。
・要介護1:800円
・要介護2:882円
・要介護3:996円
・要介護4:1,071円
・要介護5:1,145円
※施設によって異なる場合がありますが、月額約10万円~15万円程度かかります。
介護療養型医療施設(療養病床)
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「介護療養型医療施設」とは、療養病床をもつ病院や診療所、老人性認知症疾患療養病棟をもつ病院で、病状は比較的安定しているものの、慢性的な病気等のため長期間の療養が必要という人を対象にしている施設です。日常生活の支援やリハビリテーション、療養の世話等のサービスを受けることができます。
・要介護1:745円
・要介護2:848円
・要介護3:1,071円
・要介護4:1,166円
・要介護5:1,251円
※施設によって異なる場合がありますが、月額約10万円~15万円程度かかります。
介護医療院
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「介護医療院」とは、長期的な療養が必要な人が医療や看護、介護のサービスが受けられる施設です。看取り介護やターミナルケアも重視しています。
Ⅰ型(重篤な身体疾患を有する人や身体合併症を有する認知症高齢者等が対象)
・要介護1:775円
・要介護2:882円
・要介護3:1,111円
・要介護4:1,208円
・要介護5:1,296円
Ⅱ型(容体が比較的安定した人等が対象)
・要介護1:731円
・要介護2:825円
・要介護3:1,029円
・要介護4:1,116円
・要介護5:1,194円
※施設によって異なる場合がありますが、月額約10万円~15万円程度かかります。
終末期医療のことで、治癒の可能性のない余命わずかとなった人をケアすることをいいます。
介護医療院は、平成30年4月スタートの新しい介護保険のサービスです。
特定施設入居者生活介護
「特定施設入居者生活介護」とは、都道府県の指定を受けた有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等の施設に入居すると受けられる介護保険のサービスです。
特定施設入居者生活介護には、「一般型(内部提供型)」と「外部サービス利用型」の2つのタイプがあります。「一般型」は、ケアプランの作成からサービスの提供まで全て施設が行います。「外部サービス利用型」は、ケアプランの作成は施設が行いますが、実際のサービスは外部の事業者が行います。
特定施設入居者生活介護の対象となる施設は、以下の種類があります。
① 有料老人ホーム
民間の会社が運営する高齢者住宅で、「介護付き」、「住宅型」、「健康型」の3つの種類があります。
「介護付き」は、施設の職員が対応するタイプと外部の事業者に委託するタイプがあり、利用できる介護保険のサービスは、「特定施設入居者生活介護」と「居宅療養管理指導」です。
「住宅型」は、必要により、外部の介護サービスを受けられるタイプで、利用できる介護保険のサービスは、「居宅介護支援」、「居宅介護サービス」、「居宅療養管理指導」です。
「健康型」は、介護の必要がない自立した高齢者が利用でき、食事等のサービスは受けられますが、介護が必要になった場合は退去しなければなりません。
施設やサービス内容によって異なる場合がありますが、月額約15万円~40万円程度かかります(入居一時金は0円~数千万円)。
② ケアハウス(軽費老人ホーム)
「ケアハウス」とは、家庭の事情等で自宅での生活や一人暮らしが難しい高齢者が利用する施設です。
施設やサービス内容によって異なる場合がありますが、月額約7万円~15万円程度かかります(入居一時金は0円)。
③ 養護老人ホーム
「養護老人ホーム」とは、身体上、精神上、経済上等の理由で、自宅での生活が難しい高齢者が利用する施設です。
④ サービス付き高齢者向け住宅
「サービス付き高齢者向け住宅」とは、60歳以上の高齢者、または要支援、要介護認定を受けている人が利用できる高齢者向けの賃貸住宅です。専門職が常駐し、サービスを提供してくれます。建物はバリアフリー構造で安否確認がある等、利用者が安心して暮らせるように一定の基準が義務付けられています。
施設やサービス内容によって異なる場合がありますが、月額約10万円~25万円程度かかります(敷金は家賃の2~3か月分程度)。
訪問、通所、短期入所の3つのサービスを組み合わせて利用するサービス
一つの事業所と契約することによって、複数のサービスを利用できる介護保険のサービスがあります。このサービスについてご説明します。
小規模多機能型居宅介護(地域密着型サービス)
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「小規模多機能型居宅介護」とは、一つの事業者と契約することによって訪問介護、通所介護、短期入所生活介護の3つのサービスを必要に応じて組み合わせて利用できる介護保険のサービスです。
小規模多機能型居宅介護を利用するため、事業者と契約する際にはメリット、デメリットを確認し、十分に検討する必要があります。
〈メリット〉
- 事業者が一本化できるため、契約相手が少なくて済むことや顔なじみの職員に対応してもらえる。
- 臨機応変にサービスを選択できる。
- 定額性のため、費用が明確で分かりやすい。
〈デメリット〉
- なじみのケアマネージャーとの関係が切れる可能性が高い。
- たとえサービスの一部に不満があっても、そのサービスだけ事業者を変更することはできない。
- 定額性であるため、サービスの利用が少ないと割高、また、事業者が料金に見合うサービスを提供しない場合がある。
・要支援1:3,403円
・要支援2:6,877円
・要介護1:10,320円
・要介護2:15,167円
・要介護3:22,062円
・要介護4:24,350円
・要介護5:26,849円
要支援1、2の人が介護予防を目的に、サービスを受けることができます。
看護小規模多機能型居宅介護(地域密着型サービス)
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「看護小規模多機能型居宅介護」とは、一つの事業者と契約することによって、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護の3つのサービスに加えて、主治医の指示に基づく訪問看護も組み合わせて利用できる介護保険のサービスです。
すなわち、小規模多機能型居宅介護に訪問看護が合体したサービスです。利用料は1か月ごとの定額制です。
・要介護1:12,341円
・要介護2:17,268円
・要介護3:24,274円
・要介護4:27,531円
・要介護5:31,141円
福祉用具を借りる、購入する、住宅を改修する時に利用するサービス
福祉用具貸与
利用者の日常生活の便宜を図る福祉用具や介護者の負担を軽減するための福祉用具を借りることができる介護保険のサービスです。
介護保険が利用できる福祉用具は13品目あり、要介護状態区分によって借りられる福祉用具が異なります。
・車いす ・車いす付属品 ・特殊寝台 ・特殊寝台付属品
・体位変換器 ・床ずれ防止用具 ・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト
・自動排泄処理装置(本体部分のみ)
・歩行器:2,000円~7,000円
・自走用車いす:6,000円~10,000円
・移動用リフト:15,000円~20,000円
・ベッド:10,000円~20,000円 等
※利用者負担分は、以上の金額の1割~3割となります。
要支援1、2の人が利用できる介護保険のサービスです。借りられる福祉用具は、原則「手すり」、「スロープ」、「歩行補助杖」、「歩行器」です。状況によっては、他の福祉用具も借りられる場合があります。
特定福祉用具販売
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
入浴や排泄管理用具関連のレンタルで使用するには抵抗のある福祉用具を介護保険のサービスを利用して購入することができます。
介護保険を利用して購入できる特定福祉用具は11品目(うち入浴補助用具7品目)あります。特定福祉用具は以下のとおりです。
- 入浴補助用具(浴室内すのこ、入浴用いす、入浴台、浴槽用手すり、浴槽内いす、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)
- 簡易浴槽
- 腰かけ便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 移動用リフトの吊り具
特定福祉用具の購入について、以下の注意すべき点があります。
・特定福祉用具販売の指定を受けた事業所で購入しなければなりません。
・サービスを利用するためには、市区町村に申請が必要です。
購入金額や購入回数に限度が定められているため、購入する際は、まずケアマネージャーに相談し、用具の選択等については福祉用具相談員に確認しましょう。
〈申請に必要なもの〉
- 特定福祉用具購入費支給申請書
- 介護保険証
- 購入した福祉用具の領収証
- 福祉用具の概要が分かる書類(パンフレット等)
- 印鑑
費用は、いったん全額を利用者が支払い、申請後、自己負担分の差額(自己負担割合が1割なら9割)が後日介護保険から給付されます。
要支援1、2の人が利用できる介護保険のサービスです。購入できる福祉用具は限られています。支給額は「特定福祉用具販売」と同じです。
住宅改修
利用対象者は、「要介護1以上」の人です。
「住宅改修」のサービスを利用できる人は、在宅介護の場合に、利用者が生活しやすいように、また、介護者が介護しやすいようにそれぞれの負担を軽減するために行う住宅の改修を行う場合です。
同一住宅で、工事費用の合計20万円までを限度に、自己負担分を差し引いた金額が給付されます。同一住宅に要介護認定を受けた人が複数住んでいる場合は、「20万円✖人数分」が給付されます。
市区町村へ事前の申請と改修後の申請が必要となります。
・手すりの取り付け ・段差の解消 ・床材等の変更
・扉の取り替え ・便器の取り替え ・付帯工事
〈事前申請に必要なもの〉
- 住宅改修費支給申請書
- 介護保険証
- 住宅改修が必要な理由書
- 工事図面、工事費見積書
- 住宅改修前の状態が確認できるもの(改修前の写真等)
- 印鑑
〈改修後の申請に必要なもの〉
- 改修工事の領収証
- 工事費内訳書
- 改修前と改修後の写真
介護予防のために、要支援1、2の人が「住宅改修」と同様に利用できる介護保険のサービスです。
まとめ
以上、介護保険制度のしくみ、介護保険の手続きの流れ、サービスの費用や種類等ご説明しました。
これらの内容ついて少しでも知っていれば、介護保険を上手く活用し、どこに(誰に)相談して、どの種類のサービスを利用するかを早く判断できるかもしれません。費用面は特に大切です。
「介護離職」や「介護職員不足」の問題だけではなく、「介護うつ」についても耳にするようになりました。なかなか難しいことですが、一人で悩んだり、抱え込まずに周囲に助けを求めていただきたいです。
介護についての様々な問題が少しずつ解消し、介護保険の活用によって、利用する人たち、介護する人たちがより安心して暮らせるようになってほしいと思います。
参考 介護保険制度の概要厚生労働省
FP教える
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