FP教える
葬儀後に行う手続きには、期限があるものとそうではないものがあります。特に、期限が定められているものは、葬儀後すぐに優先順位をつけて手続きしていくことが大切です。
実際に、市区町村役場等への手続きは期限が定められているものがほとんどで、その多くが「亡くなって14日以内」です。
具体的には、「世帯主変更」手続き(亡くなった方が世帯主だった場合)、「健康保険」・「国民健康保険」・「介護保険」・「年金」等に関する手続きがあります。
年金の受給停止と未支給年金の請求手続きについては、ブログの中で解説しています(「亡くなってから2週間以内に行う相続手続き②年金受給停止と未支給年金請求手続き、手続き方法は?必要書類は?」)。こちらもご覧下さい。
目次
「世帯主変更」手続き
届出期限等
「世帯主変更届」の提出は、新しい世帯主か同一世帯の人、または代理人(委任状が必要)が亡くなってから14日以内に亡くなった方の住所地の市区町村役場に提出しなければなりません。
この際に、世帯主欄を変更するために国民健康保険証や本人確認用の運転免許証やパスポート、印鑑(認印可)等が必要です。
届出を提出しなくても良い場合
世帯主変更届は提出しなくて良い場合があります。
例えば、残された世帯員が妻だけ、または15歳以上で1人だけ、妻と15歳未満の子という場合には、提出する必要はありません。それは、これらの例の場合には新しく世帯主になる人が明らかだからです。
届出を提出しなければならない場合
反対に、届出を提出しなければならないのは以下のような場合です。
例えば、残された世帯員が妻と15歳以上の子の場合等の誰が世帯主になるか明確ではない時に提出が必要です。
一般的に、亡くなった方が世帯主だった場合は、死亡届の提出と同時に行えば、一度に済ますことができます。
「公的医療保険の資格喪失」の手続き
公的医療保険の種類
一般的に、日本国内に住所がある人は、国籍や年齢に関係なく誰でも何かの公的医療保険に加入しています。
主に、自営業者等が加入している国民健康保険、会社員等が加入している健康保険、75歳以上の人や65歳から74歳で障害のある人が加入している後期高齢者医療保険があります。
どの保険制度でも亡くなると被保険者の資格を喪失するため、保険証は亡くなった日の翌日から無効となり、返却しなければなりません。
〈亡くなった方の健康保険の種類と返却する保険証の種類〉
亡くなった方の状況 | 健康保険の種類 | 返却する保険証の種類 |
自営業 | 国民健康保険 | 国民健康保険被保険者証 |
70歳~74歳 | 国民健康保険 | 国民健康保険被保険者証と国民健康保険高齢受給者証 |
75歳以上(65歳~74歳で障害のある方を含む) | 後期高齢者医療保険 | 後期高齢者医療被保険者証 |
会社員 | 各健康保険 | 各健康保険被保険者証 |
国民健康保険
国民健康保険の被保険者が亡くなった場合には、同一世帯員(代理人の提出も可。委任状必要)が、亡くなった日から14日以内に亡くなった方の住所地の市区町村役場に国民健康保険被保険者資格喪失届(窓口)を提出しなければなりません。この際に、国民健康保険被保険者証を返却します。
さらに、亡くなった方が世帯主でその家族も国民健康保険に加入していた場合には、同時に世帯主の変更手続きも行い、新しい保険証を発行してもらいます(世帯主が亡くなった場合には、世帯全員分の保険証を返却します)。
届出提出時には、死亡を証明する戸籍謄本、世帯主の印鑑、相続人の印鑑、運転免許証等の身分を証明するもの等が必要になります。
後期高齢者医療保険
後期高齢者医療保険の被保険者が亡くなった場合は、手続きする人、届出を提出する場所、届出期限、届出時に必要なものは国民健康保険と同じです。
後期高齢者医療保険の被保険者が亡くなった場合には、同一世帯員(代理人の提出も可。委任状必要)が、亡くなった日から14日以内に亡くなった方の住所地の市区町村役場に後期高齢者医療被保険者資格喪失届(窓口)を提出しなければなりません。その際に、後期高齢者医療被保険者証を返却します。
届出提出時には、死亡を証明する戸籍謄本、世帯主の印鑑、相続人の印鑑、運転免許証等の身分を証明するもの等が必要になります。
参考 国民健康保険 後期高齢者医療 資格喪失届死亡届の書き方と必要書類
健康保険
亡くなった方がサラリーマンなどで、全国健康保険協会(協会けんぽ)または会社ごとの健康保険組合が運営する健康保険に加入していた場合には、5日以内に会社の住所地を管轄する年金事務所または健康保険組合に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。
一般的には、勤務先の会社の担当部署などが死亡退職手続きと一緒に行います。その際に健康保険被保険者証を返却します。
直接手続きする場合には、会社の住所地の都道府県の協会けんぽ、または、会社が健康保険組合に加入していた場合はその健康保険組合に保険証を返却します。
亡くなった方の扶養に入っていた人がいた場合には、亡くなった方の保険証を返却するのと同時に、扶養に入っていた人全員の保険証も返却する必要があります。
この場合は、世帯主の方が亡くなると扶養されていた家族も同時に健康保険の資格を失います。そのため、世帯主の方が亡くなった日から14日以内に、扶養されていた家族はご自身で国民健康保険に加入するか、世帯主の方が亡くなった日から5日以内に社会保険に加入している家族の扶養に入る等の手続きをしなければなりません。
「介護保険の資格喪失」の手続き
亡くなった方が65歳以上、または、40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた場合は、介護保険の資格喪失の手続きを行う必要があります。
介護保険の被保険者が亡くなった場合には、同一世帯員(代理人の提出も可。委任状必要)が亡くなった日から14日以内に亡くなった方の住所地の市区町村役場に介護保険資格喪失届(窓口)を提出しなければなりません。この際に、介護保険被保険者証を返却します。
届出提出時には、死亡を証明する戸籍謄本、世帯主の印鑑、相続人の印鑑、運転免許証等の身分を証明するもの等が必要になります。
参考 介護保険死亡届の書き方と必要書類
まとめ
世帯主の変更、公的医療保険や介護保険の資格喪失の手続きには期限があります。必ず期限内に手続きを行うようにしましょう。
やるべきこと | 期 限 |
世帯主変更届の提出 | 14日以内 |
国民健康保険被保険者資格喪失届の提出 | 14日以内 |
後期高齢者医療被保険者資格喪失届の提出 | 14日以内 |
健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の提出(※会社が行う) | 5日以内 |
介護保険資格喪失届の提出 | 14日以内 |
FP教える
コメントを残す